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Fig-11 Load−Displacement Relationship(Bending Load Test)

接合部の形式タイプAは、接合部にU型のフックを付けて33?の範囲を重ね継手とした。タイプBは主鉄筋の継手部の長さを交互に変え、かつ接合部に溶接鉄筋網をかぶせて補強した。タイプCは重ね継手長を30Dとし一ヶ所での重ね継手(いも継手)とした。またタイプNは接合部のない溶接鉄筋網のみの試験体である。
Fig-11に静的曲げ載荷試験の荷重一変位の関係を示す。各試験体の終局荷重は17tf〜20tfであった。3種類の接合方式の試験体は、接合部のない試験体よりも大きな曲げ耐衛力があった。またひび割れ状況は終局時に載荷点付近でコンクリートの圧壊が見られたが、とくに重ね継手の境界部でひび割れが集中する傾向は見られなかった。また同種の試験体を京浜港の干満帯に設置し暴露試験を行ったところ溶接部での錆の進行は特に見られなかった。
(4)溶接鉄筋縮の波浪に対する疲労の検討6)

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Fig-12 Outline of Caisson and Location of Calculation

溶接鉄筋網を防波堤用ケーソンの側壁に使用した場合による疲労損傷度をマイナー則を用いて検討した。検討に用いたケーソンは常陸那珂港に設置されるもので、検討箇所をFig-12に示す。疲労損傷度の算定に用いた波浪は、同港で取得された1990年1月〜1992年12月の3年間の波浪観測データをもとに50年間の波高頻度分布を計算して求めた。
コンクリート標準示方書では、溶接された鉄筋の設計疲労強度は50%までは低下する可能性があるとされている。そこで算定式の下限率を10%〜50%まで低減して検討を行った。30%下限とした算定式を次式に示す。

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検討結果をFig-13に示す。疲労強度が50%下限とした場合、損傷度が1.0を越え側壁鉄筋が疲労破断する結果となった。また溶接鉄筋の疲労試験で得られた最大下限率35%の場合は、損傷率が0.2となり港湾用ケーソンに溶接鉄筋を用いても疲労破断する可能性が小さいと判断された。

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Fig-13 Fatigue Damage VS. Decrease of Weld Strength

3.2合成版バネル工法
(1)パネル接合部の検討課題
合成版パネルは、鉄筋コンクリート版より高強度かつ軽量にすることができる。この施工方法ではパネル間の継手の構造形式と施工方法が重要な検討課題になる今回選定した合成版パネルと鋼骨組みとの接合部が、設計外力作用時に剛体と見なせるかまた予期しない破壊性状を示さないかを検討する必要がある。
重力式ケーソンは波浪や地震時の安全性を確保するために、ケーソン内部に砂質士を中詰めしている。このため接合部は外部と密閉され、海水や空気の交換が出来ない構造とし、内側の鋼材の腐食を防止する必要がある。またFig-4の接合部に充填するコンクリートは、鉄筋の腐食防止のためにも水密性が高くかつ充填性や施工性の良いものを選定する必要がある。充填コンクリート打設後においても、外壁パネルと充填コンクリートの接触面が長期的に安定しているかを検証7)しておく必要もある。
(2)接合部の載荷試験8)
載荷試験は、縦目地構造で曲げ引き抜き試験、曲げ試験およびせん断試験を、横目地構造では曲げ試験とせん断試験を行って接合部の耐荷力とひび割れ状況を調べた。引き抜き試験の試験体構造をFig-14に示す。接合部には無収縮コンクリートを用いた。
Fig-15に縦目地の曲げ引き抜き試験の最終ひび割れ状況を示す。初期ひび割れはパネルと充填コンクリートの接触面で発生し、その暖パネル部に斜め方向のひび割れが進展した、また充填コンクリート部にはひび割れが

 

 

 

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